2009年から2014年の間、26回にわたって開催されていた「浜松ドラッカー勉強会」の公式ブログです。ドラッカーの理念をベースに、経営やマーケティングに関して学ぶ場所でした。現在は開催されていません。

マーケティング界のドラッカー、セオドア・レビットの「近視眼的マーケティング」

2013年04月27日



先日、テレビで「補聴機能を備えた 聴こえるメガネ」を紹介していました。当勉強会に補聴器販売店の方がいらっしゃることもあって、「補聴器」と聞くとつい「なんだ?」と注目してしまう今日この頃。この「補聴機能を備えた 聴こえるメガネ」は、「聴こえるメガネ」をコンセプトに「綺麗なデザインの補聴機能を備えたメガネが欲しい!!」というお客様のリクエストに応えるため現在開発中なのです。

補聴器のプロからみるとこの商品は「まだまだ」だそうですが、補聴器の素人の私からみると「おぉ~スゴイ~!いいじゃん!」になります。この違い、わかります?
補聴器を使う状況にある人は、「補聴器という機械そのもの」が欲しいわけではなく、「耳が聞こえにくいという状況を解決する手段」であれば「なんでもいい」ので、補聴器に代わる商品やサービスが登場すればそちらに移るのです。
つまり、補聴器を必要な人の究極のサービスは、「補聴のための機器がなくてもクリアに音が聞こえる」ことです。イヤホン付メガネだとまだ不便や見かけの問題はあるかもしれませんが、消費者は現在ある補聴器と比較して購買の意思決定をするでしょう。

「マーケティングの近視眼が会社を滅ぼす」というと、経営者はドキッとするかもしれません。

1960年、マーケティング論のレジェンド、セオドア・レビット(1925-2006)は、「マーケティング近視眼(マーケティング・マイオピア)」という論文を発表しました。鉄道業界や映画業界などの実例をあげ、成功した企業が衰退していった原因のひとつは経営者が「マーケティングの近視眼」に陥ったからだと言っています。
マーケティングと販売は、字義以上に大きく異なる。販売は売り手のニーズに、マーケティングは買い手のニーズに重点が置かれている。販売は製品をキャッシュに替えたい、という売り手のニーズが中心だが、マーケティングは製品を想像し、配送し、最終的に消費させることによって、顧客のニーズを満足させようというアイデアが中心である。」
つまり、経営者が近視眼的に状況判断をすることに警告をしており、既存の市場でいくら製品やサービス、流通構造などに手を加えようと、顧客のアイデアから出発すれば、競争する市場そのものが別の場所に移ってしまう、と言っています。1960年の論文ですから、50年以上前にレビットは今日でもなかなか達成できないマーケティングの中核概念について言及しているのです。

実は、このレビットは「マーケティング界のドラッカー」とも呼ばれています。

顧客重視の経営を最初に強調したのは、ご存じドラッカー。『現代の経営』(1954)ですよね。その「ドラッカー思想を研究し、マーケティング分野へと展開したのがレビットである」と、マーケティング研究の第一人者であるP.コトラーが評しています。
1950年代までマーケティングは単なる「販売」や「営業」、「広告」としてのみ理解され、今日のように経営戦略の主要機能とは位置付けられていませんでした。レビットは、マーケティングの重要性と顧客の視点から経営活動を捉えなおすことを明示しました。
また、学術研究よりも実学に貢献してきたこと、普遍性をは何かという問題意識を貫いたこと、などがドラッカーとの共通点であるといえます。

レビットは、マーケティング近視眼、マーケティングマトリクス、サービスの工業化、無形性のマーケティング、グローバル化の本質、差別化、関係性マーケティングなどなど、これらのコンセプトを1960年代から1990年代前半までに次々と発表しています。古いものとはいえ、今日のマーケティング活動に重要な視点を与える論文たちです。
ドラッカーもマーケティングは企業活動の機能の1つとして重要視していますが、実践的に現場に適用していきたい方やイノベーションのアイデア出しをしたい方、社会とマーケティングの関わり方を考えたい方などは、ぜひレビット理論に触れてみてください。

【レビットの主要な著作】
  ◆『T.レビット マーケティング論』ダイヤモンド社,2007年
  →Harvard Business Reviewへ寄稿した全25本の論考を収録。
     http://www.amazon.co.jp/dp/4478002371
  ◆『マーケティングの革新―未来戦略の新視点』ダイヤモンド社,2006年
     http://www.amazon.co.jp/dp/447850265X
  ◆『レビットのマーケティング思考法―本質・戦略・実践』ダイヤモンド社,2002年
     http://www.amazon.co.jp/dp/447850198X

【浜松ドラマケ勉強会 主宰 道喜(どうき)道恵】



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投稿者:浜松ドラマケ勉強会 │ 09:48 │ コメント(0) │ 実践メモ

あなたは成果をあげる人ですか?

2013年04月11日
ドラッカーのキーワードの1つに「成果」があります
「成果」を英語にすると、results、efforts、achievement、accomplishmentなども挙げられるのですが、ドラッカーはperformanceを使っています。
組織構造は、組織の中の人間や組織単位の関心を、努力でなく成果に向けさせなければならない。成果こそ、すべての活動の目的である。
"Organization structure should direct the vision of individuals and of managerial units toward performance rather than toward efforts. And it should direct vision toward results, that is, toward the performance of the entire enterprise." (エッセンシャル版『マネジメント』より)

performanceの意味はいくつかありまして、一般的には「パフォーマンス」とカタカナになり演奏や演技などと捉えられています。辞書を引くと、
 1 (楽曲の)演奏;(演劇などの)上演,公演,興行;(動物の)芸;(儀式などの)挙行
 2 [U][C]遂行,実行,履行,功績,成果;(作品・作物などの)できばえ
 3 ((a ~))(奇妙で軽蔑に値する)行動,愚行
 4 [U]反応の仕方;(機械の)性能;(人の)実行力,手ぎわ (yahoo!辞書より)
とあり、performanceとは「遂行」「実行」「行動」といった、「実際にどんなことをしたか」という意味合いだと理解できます。

ドラッカーは、組織活動の目的は成果をあげること、と繰り返して言っています。成果をあげる=実際にどんなことをしたか、に価値を置いているのです。
では、成果はどうやってあげればいいのでしょうか?どういうタイプの人が成果をあげれるのでしょうか。気になりますよね。
私は、成果をあげる人間のタイプなどというものは存在しないことに、かなり前に気づいた。私が知っている成果をあげる人は、気質と能力、行動と方法、性格と知識と関心など、あらゆることにおいて千差万別だった。共通点は、なすべきことをなす能力だけだった。(『経営者の条件』より)
成果をあげるには、性格、強み、弱み、価値観、信条はいかようであってもよい。なされるべきことをなすだけでよい。成果をあげることは、習慣である。したがって、他の習慣と同じように身につけることのできるものである。そして身につけなければならないものである。(『経営者の条件より』)

要するに、成果をあげる能力は、生まれつきのものではなく、習得するべきものだと言っています。では、なすべきことをなし、習得する能力とはどういったものなのでしょうか。それは5つあります。(『経営者の条件』より)

 1.時間を管理すること。つまり、何に時間を取られているかを知り、残されたわずか何時間を体系的に使うことである。
 2.世の中への貢献に焦点をあわせることである。すなわち、成果に精力をむけることである。
 3.自らの強みに基準を据えることである。上司、同僚、部下についても、強みを中心に捉えることである。
 4.力を集中することである。優先順位を決め、それを守ることである。
 5.成果をもたらすよう意思決定を行うことである。

習得すべき5つの要件。どうですか?成果、実際にどんなことをしたか、を中心に時間や行動様式を変えていくことを習慣化していかなければ、身につかない能力のようです。かなり厳しいですが、「成果をあげることは学ぶことはできるが教わることはできない」、これは「自己開発」なのだ、とドラッカーは言います。そして、「知識やスキルや習慣をいかに身につけたとしても、ます初めに成果をあげるための能力を向上させておかなければ何の役にも立たない」とも言っています。いかがですか?さて、どこから見直してみますかね。

*****

ちなみに、おととし生まれたムスメの名前を考えるとき、まっさきに思いついたのが「みのり」でした。実り=成果、です。ドラッカーからです。また「みのり」は「御法」というのもあって、私の大好きな源氏物語第40巻の巻名でもあったりします。御法の花は蓮の花のことでもあります。「実りある人生」「成果をあげる人になる」なんていいなぁ、と思っていたのですが、生まれた顔を見て、「あ~、みのりじゃないな」と。今は彼女にあった(と思われる)名前です。
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【第17回】ドラマケ会~ドラッカー『ネクスト・ソサイエティ』を読む

2013年04月02日
次回の浜松ドラッカー&マーケティング勉強会は引き続き『ネクスト・ソサエティ』がテーマです。

第17回のテーマは・・・引き続き『ネクスト・ソサエティ』を読む!!!最終回
マーケティングやマネジメントの理論の基本をおさらいしながら、実践的な考え方を勉強します。
『ネクスト・ソサエティ』は内容が濃いため、3回に分けて実施していますが、途中からの参加も大歓迎です!

終了 第1回 1/21】
 日本の読者へ、はじめに、Ⅰ部(1章~3章)の解説

終了 第2回 3/18】
 Ⅰ部(4章~7章)の解説
 参加者(1月からの参加者)の発表 ⇒第Ⅰ部の内容を1枚の図にまとめる(図の書式は自由)

【第3回 5/20(月)】
 前回までのおさらい
 Ⅱ部、Ⅲ部、Ⅳ部の解説
 全体ディスカッション

夕食として、グレース工房さんご提供の薬膳カレーを提供します。脳を30種類に天然スパイスで刺激して、なおかつグレース工房(精神・身体・知的障がい者の自立支援事業者)さんの事業に協力します。

どなたでもご参加自由です。お気軽にご参加くださいませ。

⇒参加申し込みはFacebookイベントで受付中

日 時 : 2013年 5月20日(月) 18:30~21:30 (18:30~夕食 19:00~勉強会)

定 員 : 20名 (申込制先着順) → 残席わずか!!!お早目に!!!

料 金 : 1500円 (場所代とカレー飲食込み)

会 場 : 浜松市中沢町65-15  地域の茶の間「てまえみそ」地図はこちら

駐車場 : あり

持ち物 : 指定の本(電子書籍可)、筆記具

宿題 : ⇒開催日までに指定本を読破したうえでご参加してください。






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1冊の本にどっぷり浸かる~専門書の読み方~

2013年03月24日


これは私が大学院生時代に参加していた授業で使っていた本です。三戸公先生の『現代の学としての経営』という本ですが、その授業では毎年、第1章「経営学の転生を求めて」という30ページの論文を毎週ほぼ半年かけて勉強していきます。30ページを半年かけるんですよ!
はじめはコピーしてもらった論文で勉強していたのですが、同じ内容でも毎年授業に参加していたのでボロボロになってしまい、本を買って使っていました。

浜松ドラマケ会では、ドラッカー本を中心にビジネス書を深く勉強しているのですが、時間が足りないこともあり、あまり細かく突っ込めていないなぁ、と反省することもあります。(それでも、スパルタ勉強会としてウワサが広まっているらしいですが・・・)

しかし、私が実際に学んだ方法は、1時間半の授業で1ページも進まないことは当たり前でした。
どういうことかといいますと、例えばこんな感じです。
いまや、われわれは、組織社会のまっただなかに生きている。人間の主要な社会的行為は、いずれも巨大なピラミッド型の組織でもって営まれるにいたった。企業、行政体、裁判所、軍隊、政党、労働組合、学校、病院、宗教団体、研究所、芸術団体、慈善団体さえピラミッド型組織でもって運営せられるにいたった。人は、管理・経営の“うち”と“そと”に立つ。
(引用)三戸公先生『現代の学としての経営』文眞堂,1997年,3ページ。


ここではこの文章を説明するために、1文ごとに番号を振ります。
 (1)いまや、われわれは、組織社会のまっただなかに生きている。
 (2)人間の主要な社会的行為は、いずれも巨大なピラミッド型の組織でもって営まれるにいたった。
 (3)企業、行政体、裁判所、軍隊、政党、労働組合、学校、病院、宗教団体、研究所、芸術団体、慈善団体さえピラミッド型組織でもって運営せられるにいたった。
 (4)人は、管理・経営の“うち”と“そと”に立つ。

さらっと読めばそのまま流れていきそうですが、質問ポイントはたくさんあります。
 (1)「組織社会」とは何か?「組織」とは?「社会」とは?「まっただなか」とはどういう意味か?われわれが組織社会のまっただなかに生きているというのはどいうことか?「組織社会」はドラッカーも言及しているが、三戸先生とドラッカーのいう「組織社会」の類似点と相違点は?
 (2)人間の「社会的行為」とは何を指すのか?「ピラミッド型組織」とは?「社会的行為」が「ピラミッド型の組織」で営まれるとは?「至った」ということはそれまでどうだったのか?
 (3)非営利組織がピラミッド型組織であるというのはどういうことか?
 (4)「管理・経営の“うち”と“そと”」とは何か?その「“うち”と“そと”」に立つとはどいうことか?「管理・経営」とはマネジメントと言い換えてもいいのか?
まぁ、こんな感じで教授から質問が飛んできます。これに答えられなかったら「また来週~~」です。

それから、この1段落の中にある4つの文章が、どういう関係になっているのか構造はどうなっているのかを考えます。
 (1)われわれは組織社会に生きている。→問題提起
 (2)人間の社会的行為は組織、しかもピラミッド型組織で営まれる。→(1)の追加説明
 (3)営利非営利問わずあらゆる組織はピラミッド型。→(2)の具体的な説明
 (4)人間は、管理・経営からのがれられない。→結論

つまり、構造図で示すとこんな感じ。

 (1)→(2)→(4)
    ↑
    (3)

こんなことを1段、1節、1章、そして、本全体でやっていきます。そりゃ時間かかりますよね。
でも、専門書を読み理解し、著者の主張と結論、そして全体の理論構造を理解する恰好の訓練となりました。
今は、おかげさまで年を重ねたこともあり、細かい用語をチェックしなくても経営学の専門用語は大体わかりますし、論理構造もここまで分解しなくても理解できるようになりました。

浜松ドラマケ会では、参加者のみなさんにも大学院生バリに本を読んでレジュメを作って、発表して質疑に耐えてもらっています。よく「著者になりかわり発表してね」とお願いしていますが、慣れない方にとっては大変なことでしょう。

1回本気で選んだ本と向き合い、じっくり腰を据えて勉強したものは、自分にとっての理論の土台となるでしょう。そして、そのあとのモノの見方や本の読み方がガラッとかわるのです。何人もそういう人たちを見てきましたので、アナログな勉強法ですが自信をもっておススメします。
毎週のようにいろんなビジネスセミナーを巡っている方をお見かけしますが、1冊の本にどっぷり浸かってみてはいかがでしょうか。ドラッカーの著作はどれも真摯に向き合うに足るものばかりです。流し読みするにはもったいないですよ。
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【第16回】ドラマケ勉強会~『ネクスト・ソサエティ』を読む!!!その2 を開催

2013年03月22日
2013年3月18日に第16回浜松ドラッカー&マーケティング勉強会を開催しました。
第16回のテーマは・・・ドラッカーに戻って『ネクスト・ソサエティ』を読む!!!その2
マーケティングやマネジメントの理論の基本をおさらいしながら、実践的な考え方を勉強しました。

今回は前回の続きで「ネクスト・ソサエティ」第Ⅰ部の残り4章~7章の読み合わせをしたうえで、第Ⅰ部の内容を1枚の図にまとめて発表していただきました。

マインドマップ、ロジックツリー、筆ペンでの図、Prezi(プレジ)、パワーポイント・・・
皆さんに思い思いの方法でまとめていただき、同じ本でもいろいろな見方ができてとても白熱しました。

とても濃い勉強会となり、ご参加いただいた皆様ありがとうございました。




ネクストソサエティ読み合わせの続きから






『ネクスト・ソサエティ』発表の様子


次回第17回は2013年5月20日開催です



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ドラッカーとハメルの読み比べ

2013年03月07日

ゲイリー・ハメル『リーディング・ザ・レボリューション』日本経済新聞社,2001年。(原書は2000年著)


『コア・コンピタンス経営』で有名なゲイリー・ハメルは、『リーディング・ザ・レボリューション』を著しています。ちょうどドラッカーの『ネクスト・ソサエティ』が出版されたのと同じ2000年のことです。
ゲイリー・ハメルは、ウォール・ストリート・ジャーナル誌が選ぶ世界ナンバー1経営思想家で、ドラッカー亡き後マネジメントのグル、カリスマとも呼ばれている人です。奇しくも、ドラッカーと同じ年に現代社会をどう捉え、マネジメントを方向付けていくかを問う著書を世に送り出しています。

ちょっと見てみましょう。

ハメルは21世紀に向かう直前の2000年、私たちは「革命の時代」に入ろうとしている、といいます。変化の本質自体が変わり、変化のスピードが変わり、変化は不連続になるといいます。それはまるで「カンブリア紀」に新しい生命体が爆発的に誕生したように、新興企業が台頭し、変化に対応できない企業は絶滅の道をたどっていくだろうと、ハメルは提言します。
「カンブリア紀」とはいい例えですね。カンブリア紀は生命体の実験場ともいわれ、現在からすると想像もできない多様な生命体が爆発的に誕生した時代です。その中で地球環境に適合した生物が淘汰され、今日に至る動物の原型がつくられた時期でもあります。
このカンブリア紀と同様に、2000年を前後とするこの時期を産業、企業のカンブリア紀とし、イノベーションが多発し淘汰されるであろうとハメルは言っているのです。
ドラッカーは同じ時勢を射程とし、「ネクスト・ソサエティ」の到来を予言していますよね。ドラッカーは社会構造の根本から問題提起をし、そのダイナミックな変化がどのように企業活動に影響を与えるか、マネジメントはどう対応すべきであるかと説いています。一方、ハメルは彼が肌身で感じる企業活動の変化や危機感のようなものから、イノベーションを引き起こす力やイノベーションが社会を巻き込んでいく影響力について述べています。

また、ハメルは、「進歩の時代の最後の業績は、知識の商品化」とし、お金さえ出せば、優秀なコンサルタント、ライバル会社から引き抜いた社員、外注業者などから「知識」は簡単に獲得できるといいます。そして、「革命の時代には、知識が富を創造することはない」といいます。
ハメルは、大切なのは「イノベーションを見つけ出す洞察力」「先見の明」と断言し、この「洞察力」をもった経営者を「活動家(Activitist)」と位置付けます。
ドラッカーで「ネクスト・ソサエティは知識中心社会」「知識が富の源泉」と勉強してきてた私たちからすれば驚きます。ですが、「変化」を中心に社会を捉え、変化を乗り越えるための企業活動を考えれば、ハメルの説も納得です。

ハメルは、本職が経営コンサルタントということもあり、普遍的な経営理論の提示というよりは、より実践的で現場に有効なフレームワークを提示してくれます。ハメルの目標が、品質管理(QC)活動の生みの親であるジョセフ・ジュランとエドワード・デミングでることからも伺えます。
とりあえず、ハメルの入り口の入り口だけご紹介しましたが、これだけでもドラッカーと比べてその類似点や相違点を考え、理論の意味付けをしていく作業はとてもドキドキワクワクします。・・・のは私だけですかね(笑)
【浜松ドラマケ勉強会 主宰 道喜(どうき)道恵】


おかげ様で次回3月18日の勉強会は超満員となりました。ありがとうございます。
その次は5月を予定しております。



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ドラッカーが考える「事業継続」

2013年02月22日
最近、「事業継続計画(BCP)」と聞くと「お?」と引っかかるのは、ドラッカーの話ばかりしているからでしょうか。

ドラッカーは、企業という組織を「利益追求の手段」と捉えず、「社会における制度」として捉えています。
企業はなぜ社会に存在しているのか?社会における企業の役割とは何か?を追求していたのがドラッカーです。

繰り返しになりますが、ドラッカーは、「企業をはじめとするあらゆる組織(organ)が社会の機関(institution)である」と位置付けています。機関とは、社会になくてはならない「制度」であり、組織が存在するのは自らの機能を果たすことによって、機関としての成果を達成します。
つまり、企業、行政、病院、学校、教会、軍隊、NPO、家庭等々の社会に存在するあらゆる組織は、それぞれが果たすべき使命があるのです。組織の存在そのものが目的ではなく、組織というものはそれぞれの使命を達成するための手段に過ぎないということです。

そもそも企業とは、一個人である経営者の私的な営利体であるはずです。しかしなぜ企業は社会における役割を求められるのでしょうか。
かつて、19世紀の企業は小規模であり、つぶれたり解散したり売買されたりすることも当たり前でした。 企業家個人の行為とイコールだったわけです。
しかし、19世紀から20世紀にかけて、世の中は大量生産大量消費の社会に突入し、かつ、鉄道・通信の発達による市場の拡大が、企業規模を急速に巨大化、大規模化させていきました。こうした企業の「大規模化」が、単なる量的変化だけではなく、「企業の性格の変容」ももたらしました。これを「大企業化」といいます。その理由は下記のとおりです。

(1) 大規模化は莫大な資本が必要。資本調達のため株式を大量発行し、創業者やオーナーはその持ち株比率を低下させ、支配力を失っていった
(2) 市場の拡大に伴い、企業は高度かつ複雑な管理を必要とする「組織」となり、専門経営者により動かされていった
(3) 「組織」になったということは、企業活動が私的到富としての企業家の個人的行為から、複数の人間の組織目標達成のための協働行為になったということである。経営も、ヒト・モノ・カネを集め結合することから、組織の維持・発展=管理へと変化した
(4) 大規模化した企業に勤める人は増大するばかり。社会の圧倒的多数がサラリーマンとなった。企業に勤める人は、企業から収入を得るだけでなく、社会的地位や人間関係、やりがい・生きがいをも得るようになった
(5) 企業間のネットワークは緊密化・複雑化し、企業が相互に与えあう影響力も巨大になった
(6) 人々が望む福祉国家を目指すには、企業が生み出す富なくしては様々なサービスを十分に提供することが難しくなった

(出所)三戸 浩・勝部 伸夫・池内 秀己・『企業論 第3版』有斐閣アルマ,2011年。


こうして企業は何よりも「維持・発展」を求められ、つぶれることが許されない社会的「制度」となりました。 これが、永続企業体(ゴーイング・コンサーン)としての企業の姿です。そして、企業はそれまでの所有者・株主の「私的到富手段」であったものが、社会になくてはならない「準公的会社」となり、企業の目的も「利潤追求」から「企業の維持・存続」へと変容していったのです。

今日の企業がなぜ維持・発展、いわゆる「事業継続」を求められるのか。ドラッカーの問いかける「企業の社会的役割とは何か」からも理解できますね。

(参考および出所)P.F.ドラッカー『エッセンシャル版 マネジメント』ダイヤモンド社,2001年。三戸 浩・勝部 伸夫・池内 秀己・『企業論 第3版』有斐閣アルマ,2011年。
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静岡県内オーナー企業分析をどうみる?

2013年02月14日
もしドラッカーさんが日本企業の未来を予見することになったら、一体どんなデータを重要視するのでしょうか?先日、帝国データバンクから、静岡県内のオーナー企業に関する興味深いレポートが発表されましたのでご紹介します。

【帝国データバンク TDB Watching (地域別)】特別企画:静岡県内オーナー企業分析
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s130102_42.html

このレポートは、会社の経営者(社長)と所有者(株主)が同一である「オーナー企業」を対象としています。
日本にある中小企業は、なんとその数約430万社です。そして、そのうちの企業数の99.7%、雇用の約7割を中小企業が占めます。
ちなみに、中小企業者の定義(中小企業基本法第2条)は以下の通りです。
  * 製造業・その他の業種:300人以下又は3億円以下
  * 卸売業:100人以下又は1億円以下
  * 小売業:50人以下又は5,000万円以下
  * サービス業:100人以下又は5,000万円以下
レポートにもありますが、日本の中小企業はこのオーナー企業形態が多数を占めており、オーナー企業の特徴や問題点は、日本企業の特徴や問題点に直結するものと考えられます。

調査対象10,169社の調査結果を見ると、まず、業歴100年を超える長寿オーナー企業は283社(構成比2.7%)、2013年に周年記念を迎えるオーナー企業は1,022社あることがわかります。

そして、オーナー企業のうち、全国平均値は下回るものの、なんと57.8%にあたる5,882社が後継者不在の問題を抱えていることに驚きます。しかも、事業承継が喫緊の課題となる65 歳以上のオーナー社長は、39.7%(1,593 社/4,005 社)が後継者不在であり、事業承継の準備を始めるべき55 歳以上のオーナー社長でも48.3%(3,521 社/7,283 社)が後継者が不在であることがわかります。
この結果は、後継者の属性が、「配偶者」「子供」「親族」で94.5%という全国的にも高い数値に表れていることから、「同族継承」がスムーズに行われていないと予測されます。

また、オーナー社長の年齢と業績の関係も注目しましょう。
2011年度業績の判明しているオーナー企業のうち、「増収増益」となった企業は1,588社ありました。そして、増収増益の発生率をオーナー社長の年齢別に見ると、70 歳を超えるオーナー社長の運営する企業から発生率が低下、つまり、業績が停滞する傾向が見られます。

みなさん、この調査結果をどう捉えますか?
ある人は「まさに自分のことだ!」と危機感を覚えるでしょうし、ある人は「ココにビジネスチャンスがある!」とワクワクするかもしれません。ちなみに私は思うところはいろいろありますが、「お、これをネタにブログが書ける」と、今記事を書いています(笑)
日頃、このような調査レポートを目にする機会が少ない方は、ときどきは自分に関係あるなしを問わず、省庁やシンクタンクなどが発表するレポートやデータをチェックし、そこから何かを読みとり、経営活動のヒントや改善につなげてみてはいかがでしょうか。
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「ネクスト・ソサエティ」、製造業の行方

2013年02月04日
先日、「デラ儲かるものづくりの会」さんのサイトに、コラム“ドラッカーの「ネクスト・ソサエティ」にみる製造業の未来”を書きました。
ドラッカーの『ネクスト・ソサエティ』には、今、現実に起こっている社会変化-「すでに起こった未来」を鋭く捉え、未来への準備を整えようという項目がいくつも挙げられています。その1つ、ドラッカーは「産業構造における製造業の相対的な地位の変化が、社会不安を起こす可能性がある」といっています。当勉強会では、前回、製造業に従事するメンバーが比較的多いことから、実例を紹介してもらいつつ大いに議論することができました。
その矢先、2月に入り、日本経済新聞-′製造業の就業者、51年ぶり1000万人割れ 12月′(2013年2月1日付)というニュースが飛び込んできました。
総務省が発表した数値によると、2012年12月の製造業の就業者数が998万人となり、51年ぶりに1000万人を下回ったそうです。産業構造全体に占める割合も、16%まで落ち込みました。総務省が数値を発表しはじめた1953年当時が18%、1969年から1974年まで27%の最高値を記録し、その後はゆるやかに減少、2010年は17%、つまり2012年の16%と言う数値は過去最低数値であることがわかります。
製造業の就業者数減少の要因は、記事によると、(1)労働力人口の減少、(2)国内市場の縮小、(3)生産拠点の海外転移をあげており、危機感をつのらせています。

しかし、当のドラッカーは2002年の時点で、「2020年には先進国の製造業の生産量は今日の倍以上になるが、その雇用は就業者人口の12%あるいは10%に縮小する」と言っているのです。16%ではまだまだ日本は製造業就業者比率が高いと言われてしまうでしょう。

日本企業の世界市場での競争力低下が指摘されると、「ものづくり大国ニッポンの復活」ということが叫ばれますが、どうもドラッカーが提起している視点とは異なっているようです
ドラッカーは、日本の製造業がダメだとは言っておらず、むしろその技術力は高く評価しています。ただ「日本の産業すべてが効率的で競争力を持つとの説は、まったくのまちがいである。国際競争にされられている部分は、先進国のなかで最も少ない。自動車と電子機器の二つの産業が中心である。全体の8%にすぎない」と指摘しています。そして「日本にはグローバル経済の経験がほとんどない。産業のほとんどが保護されたままであり、おそろしく非効率である」と懸念しています。

ドラッカーは、「アメリカではこれらの転換(製造業の就業者数の減少に伴う社会的役割の変化)がさしたる混乱もなくすでに終わっているが、他の先進国がこの難局をアメリカのように簡単に乗り越えられるかは疑問である」と言っています。「日本を軽く見ることはできない。一夜にして180度転換するという信じられない能力をもっている」と、日本が21世紀の大競争時代を生き抜くことにドラッカーは期待を持っていました。製造業の危機が叫ばれて本当に久しいですが、就業者数の減少という「すでに起こった未来」については冷静な分析と対応が求められています。
では、大競争時代を生き抜く知恵をドラッカーはどう提示しているのか。どのような「ネクスト・ソサエティ」を想起しているのか。3月、5月と開催する勉強会で、また熱く議論していたいと思っています。
【浜松ドラマケ勉強会 主宰 道喜(どうき)道恵】


デラ儲かるものづくりの会」とは、「中京圏の製造業者でWeb活用で実績を上げてきた企業の担当者と製造業支援に本気で取り組んでいるWeb事業者が、日本のものづくり企業のWeb活用を促進するために立ち上げた組織」です。



浜松ドラマケ勉強会とは?

浜松ドラッカー&マーケティング勉強会

ドラッカーの理念をベースに、経営やマーケティングに関して学ぶ、オープン勉強会です。
浜松ドラマケ会公開講座は、基本奇数月の第三月曜日ですが、祝日の場合のみ翌週(第四月曜)になります。
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投稿者:浜松ドラマケ勉強会 │ 11:54 │ コメント(0) │ 実践メモ

満員御礼【第16回】ドラマケ会~ドラッカー『ネクスト・ソサイエティ』を読む

2013年02月04日
次回の浜松ドラッカー&マーケティング勉強会は引き続き『ネクスト・ソサエティ』がテーマです。
第Ⅰ部の4章~7章を引き続き解説いたします。加えて、前回から参加者の皆さんより、第Ⅰ部の内容を1枚の図にまとめて発表していただきます。

夕食として、グレース工房さんご提供の薬膳カレーを提供します。
脳を30種類に天然スパイスで刺激して、なおかつグレース工房(精神・身体・知的障がい者の自立支援事業者)さんの事業に協力します。
どなたでもご参加自由です。お気軽にご参加くださいませ。

⇒参加申し込みはFacebookイベントで受付中

日 時 : 2013年 3月18日(月) 18:30~21:30 (18:30~夕食 19:00~勉強会)

定 員 : 20名 (申込制先着順) → 満員につき申込を締め切りました

料 金 : 1500円 (場所代とカレー飲食込み)

会 場 : 浜松市中沢町65-15  地域の茶の間「てまえみそ」地図はこちら

駐車場 : あり

持ち物 : 指定の本(電子書籍可)、筆記具

宿題 : 前回からの参加者⇒第Ⅰ部の内容を1枚の図にまとめる(図の書式は自由)
     今回からの参加者⇒開催日までに指定本を読破したうえでご参加してください。






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投稿者:浜松ドラマケ勉強会 │ 09:13 │ コメント(0) │ 勉強会日程