ゲイリー・ハメル『リーディング・ザ・レボリューション』日本経済新聞社,2001年。(原書は2000年著)
『コア・コンピタンス経営』で有名な
ゲイリー・ハメルは、『リーディング・ザ・レボリューション』を著しています。ちょうどドラッカーの『ネクスト・ソサエティ』が出版されたのと同じ2000年のことです。
ゲイリー・ハメルは、ウォール・ストリート・ジャーナル誌が選ぶ世界ナンバー1経営思想家で、ドラッカー亡き後マネジメントのグル、カリスマとも呼ばれている人です。奇しくも、ドラッカーと同じ年に現代社会をどう捉え、マネジメントを方向付けていくかを問う著書を世に送り出しています。
ちょっと見てみましょう。
ハメルは21世紀に向かう直前の2000年、私たちは
「革命の時代」に入ろうとしている、といいます。変化の本質自体が変わり、変化のスピードが変わり、変化は不連続になるといいます。それはまるで「
カンブリア紀」に新しい生命体が爆発的に誕生したように、新興企業が台頭し、変化に対応できない企業は絶滅の道をたどっていくだろうと、ハメルは提言します。
「カンブリア紀」とはいい例えですね。カンブリア紀は生命体の実験場ともいわれ、現在からすると想像もできない多様な生命体が爆発的に誕生した時代です。その中で地球環境に適合した生物が淘汰され、今日に至る動物の原型がつくられた時期でもあります。
このカンブリア紀と同様に、
2000年を前後とするこの時期を産業、企業のカンブリア紀とし、イノベーションが多発し淘汰されるであろうとハメルは言っているのです。
ドラッカーは同じ時勢を射程とし、「ネクスト・ソサエティ」の到来を予言していますよね。ドラッカーは社会構造の根本から問題提起をし、そのダイナミックな変化がどのように企業活動に影響を与えるか、マネジメントはどう対応すべきであるかと説いています。一方、ハメルは彼が肌身で感じる企業活動の変化や危機感のようなものから、イノベーションを引き起こす力やイノベーションが社会を巻き込んでいく影響力について述べています。
また、ハメルは、「進歩の時代の最後の業績は、知識の商品化」とし、お金さえ出せば、優秀なコンサルタント、ライバル会社から引き抜いた社員、外注業者などから「知識」は簡単に獲得できるといいます。そして、「
革命の時代には、知識が富を創造することはない」といいます。
ハメルは、大切なのは「
イノベーションを見つけ出す洞察力」「先見の明」と断言し、この
「洞察力」をもった経営者を「活動家(Activitist)」と位置付けます。
ドラッカーで「ネクスト・ソサエティは知識中心社会」「知識が富の源泉」と勉強してきてた私たちからすれば驚きます。ですが、「変化」を中心に社会を捉え、変化を乗り越えるための企業活動を考えれば、ハメルの説も納得です。
ハメルは、本職が経営コンサルタントということもあり、普遍的な経営理論の提示というよりは、より実践的で現場に有効なフレームワークを提示してくれます。ハメルの目標が、品質管理(QC)活動の生みの親であるジョセフ・ジュランとエドワード・デミングでることからも伺えます。
とりあえず、ハメルの入り口の入り口だけご紹介しましたが、これだけでもドラッカーと比べてその
類似点や相違点を考え、理論の意味付けをしていく作業はとてもドキドキワクワクします。・・・のは私だけですかね(笑)
【浜松ドラマケ勉強会 主宰 道喜(どうき)道恵】
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