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ドラッカーの企業観が背中を押してくれる

2012年10月16日
前回、「企業はどうして社会に存在しているのか」(企業ってどうして社会にあるんですかね)ということについて考えてみました。

経営者になると様々な役割や使命、義務を求められます。実際、経営者になられた方は、「え!社長ってこんなことまでするの!?これ社長のやることなの!?」と驚くことも多々あるのではないでしょうか。

元花王会長の常盤文克氏は、「そもそも、会社には『法人』という言葉があるように、ヒト(人)としての側面があります。会社組織は、法律上は人格に相当する権利が与えられ、経済活動が許されているのです。今、このヒトの側面からの議論がかけているように思います。」と述べています。
(出所)常盤文克『新・日本的経営を考える』,日本能率協会マネジメントセンター,2012年。

確かに、企業をモノとして取り扱い、利益回収の道具となり、企業そのものが投機や売買の対象としてみる企業観もあるでしょう。日本では、短期的な利益回収や投機目的の企業買収が積極的に好まれないのは、常盤氏が指摘するように企業は「ヒト」としての「権利」があり、この「ヒト」として社会でどうふるまうか、が重用されてきたからでしょう。

ドラッカーは、「組織が存在するのは組織自体のためではない。自らの機能を果たすことによって、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たすためである」と『マネジメント』の冒頭で述べています。そして、

 (1) 自らの組織に特有の使命を果たす
 (2) 仕事を通じて働く人たちを生かす
 (3) 社会の問題について貢献する


の組織が社会に貢献するうえの3つの役割をあげています。
(出所)P.F.ドラッカー『マネジメント(エッセンシャル版)』,上田惇生編訳,ダイアモンド社,2001年。

経営コンサルタントの小宮一慶氏は、これらドラッカーの理論は、「社会が関心を持っていること」、つまり、「外部からの視点」に基軸があることを指摘し、マネジメントの役割は、

「『社会が関心をもっていること』を企業にまっとうさせること、そのことにより企業も社会も繁栄するということ」
と解釈しています。そして、「3つの役割をまっとうしない企業は、衰退する」とまで言っています。
(出所)小宮一慶『ドラッカーが「マネジメント」でいちばん伝えたかったこと』,ダイアモンド社,2012年。


ドラッカーが日本の経営者たちに愛されてきた理由の一つに、一般的なビジネスや経済の本がほとんど追求しない「企業の目的や社会的な役割」について詳しく述べてあることがあげられます。「企業はなぜ社会にあるのか」を問う企業観をドラッカーが示唆してくれることで、私たちは「あぁ、企業はこういうふるまいをすれば、社会に必要とされるのだ」、「まっとうに生きられるのだ」と背中を押され前に進むことができるのです。

********

◇現在、乳児子育て中の私は1週間のほとんどを家で過ごしています。最初は、「何年家に籠っていればいいんだろうか」と憂鬱になりましたが、ドラッカー著書を読み直しているうちに考え方が変わりました。組織を家庭とし、家庭にある自分の役割を意識し始めました。
  (1)子育てという家庭(組織)の特有の使命を果たすことで、
  (2)子育てを通じて夫婦(組織メンバー)が活き活きとし、
  (3)社会の問題(未来の人材をまっとうに育成する)に貢献する、
と捉えれば、家に籠っていることも使命感をもって過ごせますね。
【浜ドラマケ勉強会 主宰 道喜(どうき)道恵】




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投稿者:浜松ドラマケ勉強会 │ 09:00 │ コメント(0) │ 実践メモ
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